ジンバブエ分家頁 ハラレのマダム日記



 

その37…乗馬学校 `95年10月9日(火)


 8月から毎週火曜日、乗馬を習い始めた。初心者を馬に乗せてくれて、芝生の上を歩くぐらいだろうと高をくくって始めた私は驚いた。ちゃんとした乗馬学校なのだ。生徒は、競技会に出るため通っている小・中学生もいれば、仕事の合間に通う中年男性や趣味で始めた年輩の女性まで様々だ。中には、自分の馬を家から持ってくる人もいる。馬が一頭入るだけの小さな車を小型トラックで引いてやってくるのだ。生徒の半数はこんな人達なのだから...すごすぎる!

 初回レッスンの先生は、校長らしき白人の50歳くらいの女性だった。しかし競技会が近いらしく、彼女は上級者の指導にいつ行っても忙しそうだった。2回目から先生は代わり、黒人の40歳ぐらいの男性で、たぶん少し前には乗馬のいい選手だったのだろう。そう感じさせるものがあった。紳士的で、優しくて、ジョークも上手で、しかしレッスンが始まると真剣な目になる。

 1レッスンはたった30分間なのだが、運動不足だった私は、終わると足が痛いし、とにかく疲れて、乗馬学校の中庭の木陰にしばらく座り込んで動けない。初め、馬は私をなめて、先生の命令しか受け入れなかった。だが回を重ねるうちに、私の出す命令で、右や左に曲がったり、走り出したり止まってくれるようになった。こうなってくると火曜日が待ち遠しくなる。

 そして今日のレッスンは...いつもは馬に乗らず指導してきた先生が馬にまたがった。そして、僕についておいでと言う。広い乗馬学校の柵を乗り越え、近くの草原を走り始めた。そんなこと、私にはまだ無理だ。そう言いたくても、先生はすでにずっと先を走っている。これは続けるしかない。その時、今までのレッスンで注意されてきたことを思い出した。私が進む方向をじっと見据えていないと馬は行き先を見失う。私は、先生の背中をじっと見て走ることにした。手綱は強すぎても緩すぎてもいけない。先生の様に「ワン ツー ワン ツー...」と馬にも聞こえるように私は大きな声を出してリズムを取り、果てしなく続く草原を走り続けた。優雅に...と書きたいところだが、残念だが“必死”の方が当てはまる。30分は走っていただろうか。先生はやっと乗馬学校の方向に進路を変えた。その時ホッ!とした様な、もう少し走っていたい様な気持ちだった。学校に帰るといつものように水飲み場へ馬を連れていった。馬は水をいつもよりたくさん、美味しそうに飲んだ。


 

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