ジンバブエ分家頁 ハラレのマダム日記



 

その33…独身気分の南ア旅行・2
アクシデント '95年8月7日(月)


目が覚めると、時計は8時をさしていた。見上げると、エマがベットの中でまだ眠っている。『眠れる森の美女』にキスをした王子の気持ちが分かるようだと、アンデイに借りた布団の中でボー!としばらく思っていた。

音を立てないように起きていくと、デイビットがキッチンに立って、スクランブル・エッグを作っている。ダニーは、リビングに広げていた寝袋をしまっている。二人におはようを言って、エマを起こしに戻った。目をこすっているエマの横で、布団を片づけていると、ノックする音が聞こえた。すると、ダニーの顔が現れ、2つのマグカップが私たちに差し出された。あわてて私たちは、「アリガトウ」と答えた。ドアが閉まると、私たちは顔を見合わせた。エマが言うには、彼は時々親切になるらしい。時々というのがおかしくて、二人で大笑いした。

アンデイは、7時に出勤していた。4人でブランチをとった後、ヨハネスブルグに出かけることになった。
ヨハネスブルグは新宿のようだった。いや、新宿より洗練されていて、六本木にしゃれたビルをたくさん並べた感じだ。4才の時にジンバブエにやってきたエマにとって、ヨハネスブルグは唯一の大都会になる。さっきから「スゴイデショウ」と自分の街のように、初めての私に自慢する。すると、「トウキョウノホウガ、オオキイヨ」とダニーが言った。
言いたかったことを言ってくれて、エマには悪いがスッ!とした。

デイビットとダニー(二人とも中国系ジンバブエ人)のたっての希望で、中華食材店に行った。広い店内には、豆腐や白菜、わかめや昆布など日本人になじみのある物までおいてある。日清食品が中国の会社と作ったらしい『出前一丁』を見つけたり、私も大いに楽しめた。

店を出て、また車に乗り込んだ。が、エンジンがかからない…。エマが運転席に座り、デイビットとダニーが押し掛けすることになった。私も彼らの間で、一生懸命押した。10メートルも押すと、エンジンがかかった。喜びもつかの間、それから30分走った後、バン!!という大きな音と共に、また車が止まった。

 近くに駐車し、電話を借りて『AA』を呼んだ。(日本で言う『JAF』) 30分後にやってきたが、バッテリーが古いと言う。近くの店で購入し、なんとかアンデイのアパートにたどり着いた。仕事から帰ってきたアンデイは、その話を聞くと、大きな口を開けて笑った。

左から、エマ、ダニー、ハラレ。後ろが噂の「ボロ車」ボロ車その夜、エマの彼のベンから電話が入った。ベンも大笑いしたらしい。エマから受話器を受け取ると、ベンは私を脅かした。ヨハネスブルグは、ニューヨークの次に危ない所で、昼間の大通りでも、銃を突きつけられ、カバンを奪われる事件が多発している。

エマに「コワイネ」と言うと、彼女はこう答えた。EWEの『レガシー』やベンの『プレリュード』は標的になるが、ヨハネスブルグのビルの谷間を、ダットサンのパルサーを押し掛けしている私たちを狙う強盗はいないと。そのたとえがおかしくて、今の英語はすごく理解できたと言うと、エマもお腹を抱えて笑った。

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