ジンバブエ分家頁 ハラレのマダム日記



 

その30…昇進したコリンちゃん '95年3月14日(火)

      コリンちゃんは、うちのガードマンのことで、この家に来た時からのつきあいだから、1年になる。夕方6時になると、警備会社の青い制服を着て、腰からは手錠と警棒を下げて自転車でやってくる。ガードマンというと、たくましい大男を想像するが、コリンちゃんは私とあまり変わらない背格好で、そしてかぶっている黄色いヘルメットのせいだろう、17才ぐらいに見える。しかし、私と同じ29才で、結婚もしていて、最近女の子が生まれた。

 自転車をガレージに置くと、台所にやってきて、"Good evenig,madam" と挨拶しながら敬礼をするのだが、その敬礼する手が口元で止まり、5本の指も開いているものだから、なんともかわいい! だから彼は「コリン君」ではなく、「コリンちゃん」がふさわしい。

 この国のガードマンは、厳しい労働条件なのに低賃金、そして地位も低い。夕方の6時から翌朝の6時までの12時間、家の外で見回りを続ける。夏の夜はまだいい。冬は気温が零度まで下がる。一日の一番寒い時を外で過ごさなければならない。それで体をこわすガードマンは多い。ガーデンボーイのギャリー君の話では、泥棒を捕まえようとケガを負ったり、不幸にも殉職するガードマンもいるらしい。

  ある寒い夜、紅茶を持って外に出たら、ガレージの扉が急いで開く音がした。あまりに寒いからガレージの中で暖を取っていたのだろう。その気持ちはわかる。しかし、それでは泥棒が入ってきたってわからない。彼にお金を払ってうちのガレージで寝てもらっているようなものだ。これを黙認するわけにいかない。私は精一杯恐い顔をして、たどたどしい英語でお説教をした。  その夜から彼はガレージの扉を閉めたことはなかった。私の足音に気がついて飛び起きたことはよくあったが…。

 ある朝、私はギャリー君の替わりに6時に起きて、 コリンちゃんから門の鍵を受け取らなければいけなかった。なのに寝坊した。鍵を渡せない彼は、終業時間が過ぎても帰れず、私が起きてくるのを2時間も待っていてくれたこともあった。

今日のお昼過ぎ、コリンちゃんがやってきたらしい。ガードマンのリーダーに昇進したことを報告しにきたという。ギャリー君に嬉しそうに話したらしい。リーダーの仕事は、家や店に派遣しているガードマンを自転車で見回り、ちゃんと仕事をしているかチエックすること。忙しいだろうが、寒さで震えることもないし、泥棒に会う確率も少なくなるだろう。お給料だって上がるだろう。

EWEは、コリンちゃんが昇進したのは自分のおかげだとほくそえんでいる。以前、警備会社の事業部長がEWEの事務所にきた時、コリンちゃんを誉めたらしい。

 今夜からコリンちゃんはうちには来ない。ちょっと寂しい。真夜中、コリンちゃんがきれいな星空を見上げながら、口笛を吹いている姿を思い出す。

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