ジンバブエ分家頁 ハラレのマダム日記



 

       

その23…ケルン来ジンバブエ特集・2
しっかり者のとっちゃん  ’94年10月3日(月)

 「さぁ!いよいよ旅行の始まりですね」と煙草をふかしながらケルンは言った。私たちはこの日、朝の5時に起きて身支度をしていた。「奥さんをお借りします」「こき使ってやってください」と玄関で、ケルンとEWEは挨拶を交わしている。

 初めの予定では、EWEが国内旅行の添乗員役をするはずだった。が、隊員のご両親がツアーを組んでいらっしゃっていたり、東京事務局の職員が視察にやってくるので休めないらしい。「代わりにと言っても、代わりにはなりませんが、ハラレを連れて行ってください」とEWEはケルンに言って、私には「英語学校の成果を試す語学研修だぞ!!」とプレッシャーをかけた。そんなわけで、私は今日から4日間、新米マダムハラレから新米添乗員ハラレへ、変身することになった。

 ジンバブエ旅行は、ほとんど国内線の飛行機を利用したので、ジンバブエの大きな観光地3カ所を3泊4日の行程で回ることができた。この旅行については、ケルンもアップすると思うので、私は、旅行中のケルン一家の姿を中心にアップしたいと思う。そして一日めは、★ワンゲ国立公園でサファリを楽しみながら感じたとっちゃん(ケルンの娘さん)について書いてみる。

 大草原の中を私たちを乗せたジープが、風を切って走った。私たちが出会った動物は、象の家族・アベックのキリン・迷子のインパラという種類の子鹿・小さな群れをなしたシマウマと水牛・ダチョウ…。それから、リカオと呼ばれる大変数の少ない種類の野犬もウオッチングできた。30才ぐらいの白人ガイドのマイケルは「リカオに出会えるなんて、あなた方はとてもラッキーだ」と言っていた。

 「あっ、キリンだ!私たちの方をじっと見ているよ!」とっちゃんは、さっきから歓声をあげている。サファリが今回で3度目の私は、動物よりも、とっちゃんの楽しそうな顔を見ている方が嬉しい。

 19才の白人ドライバーが、急にスピードを落とした。象の足跡を見つけたらしいのだ。私たちは、目を皿のようにしてあたりを見回した。ブッシュの中に、象の親子がいた!「すっご〜い」と思わず歓声を挙げる私たちに、ガイドのマイケルは「静かに」と制した。ケルンは、望遠カメラのシャッターのところに人差し指をかけ、タイミングを狙っている。とっちゃんは、声のボリュームを下げて、「うわぁ!!」と叫び続けている。本当にとっちゃんは喜んでいる。私は「彼女はすごく興奮してる」とマイケルに言うと、「シッ!」とまた怒られてしまった。マイケルは「あの象たちは、今から道を横切るよ」と言った。驚いて聞き返した。「私たちの前を通るって言うの?」マイケルはニコッとうなずいだ。

 …そのとおりになった。象たちと私たちのジープは、5メートル?ぐらいしか離れていない。大きな象が左右を何度も見ながらブッシュから出てきた。すると後から子象たちも出てきた。中には、赤ちゃんではないかと思うほど小さい(1メートル?)象もヨチヨチと歩いている。一番最後は、また大きな象が警戒しながら出てきて、前を歩く子象たちを見守っている。「ちゃんと親が子どもを守っているんですね」と、とっちゃんは感心している。時々、新聞に出てくる身勝手な親よりも、この象の方がずっと愛情に満ちているのでは…と、子育ての苦労を知らない私は、勝手なことを思った。

 とっちゃんは、子どもが大好きみたいだ。この日の夕方、きれいな夕日をおつまみにして、マイケルやドライバー、ロッジのオーナー夫婦と一杯やった時も、仲良くなった白人女性の孫に、英語で話しかけ一緒に遊んでいた。今朝、空港で会った赤ちゃんにも優しい目を向けていたし、以前もらった手紙にも「…また、ジンバブエ人の子育てについて教えてください」とあった。結婚して家庭をつくり始めたとっちゃん、子どもを産んで育てて…そんな近い将来を思い描いているのだろう。

 私は、とっちゃんと4年前の自分を比べた。EWEに会ってすぐに結婚してしまったから、2カ月めなんて、お互いのペースがつかめずに戸惑ってばかりいた。しかしとっちゃんは、とても落ちついていて、すでにかっちゃんの世話女房が板についている。「…付き合いが長いから、新婚って感じはないんです!」と言うけれど、あの時の私よりも2つも若いのに、いろんなところによく気がつくしっかり者だ。「パパ!こっちよ」「もう、ママったら!」とケルン夫妻のことも気にかけている。とっちゃんだったら、かっちゃんと温かい家庭をつくっていくに違いない。

 この日の星空もきれいだった。都会のハラレよりはるかによく見える。まるで、大きなプラネタリウムの中にいるようなのだ。ロッジのオーナーに南十字星を探してもらったが、近くの草原が自然に燃え出した明るさで、見ることはできなかった。だが、天の川は見えた。無数の星が集まって白くなっていた。

 夕食の後、私たちはそれぞれのコテージタイプの部屋に帰った。とっちゃんは、かっちゃんと部屋の玄関横におかれている籐の椅子に座って、遅くまで星を眺めていたらしい。…そうだった、この旅行は二人のハネムーンでもあるのだった。

 明日は、享子さんが楽しみにしていた、ビクトリアの滝へ向かう。

★新米添乗員ハラレの一口メモ★ ワンゲ国立公園(HANGE NATIONAL PARK):  ジンバブエのあちこちに国立公園があり、動物ウォッチングを楽しむことができるが、ここワンゲ国立公園が一番広く、動物の種類も数も多い。サファリのベストシーズンは、乾期である6月〜10月。なぜならば、一滴も雨が降らないので、動物たちは水を求めて、あちこちに作られている水飲み場(ポンプで地下水を汲み上げている)にやってくるからだ。ロッジタイプのホテルが数軒あり、ジープ・サファリに連れて行ってくれる。ジンバブエ第二の観光地。

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