ジンバブエ分家頁 ハラレのマダム日記



 

       

その21…少年少女隊

 15人の新隊員がやってきた。翌日の朝刊に、無邪気に笑う写真入りで紹介された。記事には、空港でジンバブエの国歌を上手に歌って、空港の役人たちを驚かせたことも書かれていた。「4月に変わった新国歌は、まだ僕でも歌えないのに…」と、ガーデンボーイのギャリー君は笑った。

 着任して3週間は、まず現地訓練を受ける。仕事に必要不可欠な語学訓練(英語・ショナ語)と、教師隊員は先輩隊員について、教育実習を通して授業の訓練もする。現地食のサザを食べ、お湯が出にくいシャワーを使い、日に日にジンバブエに慣れてくる。着任して一週間は、どこからみても観光客だったのが、三週間もするとたくましい隊員に変わってくるのだが…今回の新隊員は、少し違った。

 M新隊員がEWEにこんなことを尋ねたらしい。「吾妻さんのような人のお嫁さんになりたいんですが、どこに行ったら出会えますか?」と。他の新隊員は私にこう言った。「彼女は、ハラレさんに憧れているんです」よ〜く聞いてみると、プールや大きな庭のある家に住み、使用人を使い、マダムと呼ばれる生活に憧れているらしい。EWEにも私にも憧れているのではなく、マダムという立場に憧れているだけとわかり、二人でガッカリした。

 もう一人の女性新隊員はお酒が大好きで、EWEの隣に座ってEWEと同じ物を呑む。ジンバブエ産の白ワインやフランスのブランデー。EWEがコーヒーにリキュールを垂らすと、真似をしている姿が可愛い。私が焼いたケーキも喜んでくれて、「私3つめ食べてもいい?」と他の新隊員に尋ねては、頬をほうばらせて幸せそうに食べる。そして夜10時を過ぎると、わが家のソファーでスヤスヤと眠ってしまう。

 ジンバブエ隊員の平均年齢は27才。EWEの弟妹の年齢だが、仕事の愚痴を漏らしたり、悩みを持って来たり、お金を借りに来る隊員もいる。「弟妹と言うより、息子や娘だよ」とEWEは笑う。今回の新隊員は、新卒者が多く、15人中12人が女性だった。「可愛い娘がいっぱい来たね」と言うと、「今回の新隊員は、娘と言うより孫だな!」と苦笑した。他のアフリカ諸国に比べ、治安は安全と言われてきたが、ベテラン隊員が街で強盗に襲われたり、泥棒に入られたりと、被害も目だって増えてきた。ベテラン隊員がそうなのに、東京を歩くのも恐かったと言っている地方出身者の彼女達が被害に遭うのは、時間の問題か…。EWEの白髪は、ますます増えそうだ。

 最近の青年海外協力隊は、低年齢化の傾向があり、時代を象徴してか、甘えん坊や自己管理の苦手な隊員も少なくない。青年海外協力隊の元事務局長が、そんな彼らのことを、青年協力隊ではなく、少年少女隊だと言った。少年少女隊が、青年協力隊になる日が、早く来ることを祈らずにいられない。

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