ジンバブエ分家頁 ハラレのマダム日記



 

       

新米マダムハラレのジンバブエ日記

その11…異国で迎えた大晦日

’93年12月31日(金)晴天

 EWEは、大晦日というのに平常どおり仕事をしていた。私は、NHKラジオ・ジャパンの電波をつかまえて、『紅白歌合戦』を聞こうと思っていたのだが、結局メルモちゃん(理科の教師隊員・アニメのメルモちゃんに似ているから)と買い物に出かけてしまった。夕方、彼女がわが家の電話で、日本にコレクトコールをした。「お母さん元気?私よ、わたし!」そんな声を聞きながら、両親のことを思い出した。

 きれい好きな母は、『紅白歌合戦』が始まっても、「今年の垢は今年中にきれいにしなければ…」とか言って、お風呂に入って、体中を丹念に洗い、そして着ていた服まで洗濯していることだろう。のんびり屋の父は、そんな母をこたつから笑っているにちがいない。ひとりっ子の私が、こんなところに来てしまったから、二人ぼっちだ。

 しかし私には、感傷に浸っている時間はなかった。EWEの通信コンサルタント時代の元上司が仕事でハラレにいる。夕方からお呼びしてあったのだ。真空パックのおせち料理セットを皿に飾り、かわいい“いそうろう”(当日記・その7より)が置いていってくれたソバをゆでた。

 元上司は三日前、日本での休暇を楽しんで帰ってきたところだった。「知ってるかい?日本米の値段が2倍になったんだよ。だから、あんまり食べるな!って女房に言われてね…ははは!」歳は50過ぎだが、気さくな近所のおじちゃん!って感じの方だ。「今日は大晦日だから、昼過ぎから帰る準備をしていたら、彼らは帰らないんだよ。この国の人はよく働くねぇ」おしゃべりを聞きながら、ホテルで年を越す、単身赴任者のお正月も寂しいだろうと思った。

夜12時、両親に電話をかけた。日本は朝7時、起こしても怒られない時間だろう。「もしもし、ハラレか?」元気そうな父の声が聞こえた。2時間前から二人で起きて、来客の準備をしているのだと言う。にぎやかなお正月を迎えているようで安心した。しかし、「お父さんたちは忙しいんだ。そろそろ切るぞ!」と言う父の声が、寂しさを紛らして必要以上に忙しくしているように聞こえてならなかった…。

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